契約恋愛~思い出に溺れて~


今目の前にも【Hellebores】と書かれた小さな看板がある。


私はあの時、読めないとそう答えた。

今でも迷う。
ヘレボレスだっけ、ヘレボロスだっけ。


『クリスマスローズって花知ってる? 
それの英名だったかなんか。俺も良く覚えてない』


そう言って笑ったっけ。

曖昧さが気になって、後で絶対調べてやるって思うのにいつも忘れてしまって、
この店に来ると思い出すんだった。


もう思い出しても、調べたとしても、ユウに笑ってもらう事は出来ないんだ。

そう思うと、何だか無性に切なくなる。

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