契約恋愛~思い出に溺れて~
どう受け止めたらいいの。
自分の都合の良いように受け止めていいの?
淡い期待が湧きあがって、口の中に唾液が溜まる。
彼から、目が離せない。
「……紗彩ちゃんに、嘘はつけないから」
「え?」
「だからあの日は会えなかった」
「あの日って」
私の口からは、震えた声が飛び出した。
約束したあの日?
達雄のお母さんのお通夜があったという日?
「理由が言えないから、いい訳も出来なかった」
「英治く……ん」
「だけど、無視されんのもきつくて。だから教えたんだ」
英治くんの口から放たれる真実に、心が震える。