契約恋愛~思い出に溺れて~

どう受け止めたらいいの。

自分の都合の良いように受け止めていいの?


淡い期待が湧きあがって、口の中に唾液が溜まる。

彼から、目が離せない。



「……紗彩ちゃんに、嘘はつけないから」

「え?」

「だからあの日は会えなかった」

「あの日って」


私の口からは、震えた声が飛び出した。

約束したあの日?
達雄のお母さんのお通夜があったという日?


「理由が言えないから、いい訳も出来なかった」

「英治く……ん」

「だけど、無視されんのもきつくて。だから教えたんだ」


英治くんの口から放たれる真実に、心が震える。
< 273 / 544 >

この作品をシェア

pagetop