契約恋愛~思い出に溺れて~
「まーま」
いつの間にか私の隣には娘の紗優(さゆ)が居る。
幼い顔で言葉もおぼつかない様子だ。
これは何歳くらいかしら。
2歳ごろの、紗優?
娘との会話を楽しむ夢の中の自分とは対照的に、意識の私は辺りを見渡す。
場所は海、人がたくさんいる。
ああそうだ。
サーフィンの大会だ。
ユウが出るから、紗優と一緒に見に来たんだ。
「サユー。パパ頑張ってくるからなー」
ウエットスーツに身を包んだ彼は、陽に焼けた顔に満面の笑顔を浮かべて紗優を見る。
少し遠くにサーフボード。
ビーチサンダルを履いた紗優は、砂が入るのが気になってか少し機嫌が悪い。