契約恋愛~思い出に溺れて~


「まあ楽しみにしていてください」


オーナーがにやりと笑う。

彼本人も、きっと楽しみにしているんだ。
どんな人なんだろう。

やがてオーナーが一人の女性を演奏ステージに手招きする。

長くて黒い髪の綺麗な人。

白のビロードのロングワンピースが似合ってて、きっと本人もこんな白いイメージの清楚な女性なんだろうと推察できる。


「本日はご来店ありがとうございます。えー……もう皆さんお気付きだと思いますが、本日は特別ゲストを招いています」


オーナーの声に拍手がわき上がり、彼女はぎこちなく笑顔を作る。


「ピアニストの霧島香織さんです」


そうして、ピアノとギターのセッションが始まった。

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