契約恋愛~思い出に溺れて~
彼は今度は本当にすまなさそうに眉尻を下げて、ゆっくり私を抱き寄せた。
「ごめん」
「……うん」
「でも本当の事なんだけど」
「うん。ありがと」
髪を撫でてくれる手が、優しい。
額に、まつ毛に、頬に、落ちる唇。
触れられた場所一つ一つが熱をもったように、熱い。
「参ったな」
そう言って、今度は唇にそれが落ちてくる。
今度は触れるだけじゃなくて、舌先が探るように私の口内に入る。
「……んっ」
深いキスに、頭の芯がしびれるみたい。
好き。
大好き。
英治くんが好き。
ゆっくりと、彼の背中に手を回すと、彼も腕を強めて抱いてくれる。