契約恋愛~思い出に溺れて~
車が走っている間に、紗優も目を覚まして、
「あーママ、ずるーい」
と、助手席にうつった私を責めた。
家の前まで送ってもらって、手を振る。
「じゃあまたね」
「うん。ありがとう」
「おじちゃん、またあえる?」
「うん。いつでも」
「ほんとう?」
紗優が喜んで、私の腰に抱きつく。
「またね」
走り出す車を、幸せな気持ちで見つめれる事が嬉しくて。
私は車が見えなくなるまで、家の中に入れなかった。