契約恋愛~思い出に溺れて~
彼と両親
週明けの月曜日。
定例会議のあるこの日は、普通に帰っても紗優が寝る時間には間に合わない。
だからという訳じゃないけど、夜に英治くんと会う約束をした。
約束は21時。
だけど、月末納期の仕事が立て込みはじめ、色々やっていたら、待ち合わせのバーについたのは22時近くになっていた。
「いらっしゃいませ」
ブルースバー『Hellebores』では、今日はバンド演奏が行われていた。
オーナーの声のする方をみると、すぐ近くのカウンターにいる英治くんを見つけた。
「ごめんなさい!」
「いいよ。慌てなくてもいいって言ったのに」
クスクス笑いながら、彼は隣の座席に手招きする。