契約恋愛~思い出に溺れて~
「それともまだ死んだ旦那さんの事気にしてる?」
「それは……」
「前言ったように、別に彼の場所を奪い取ろうとか思ってる訳じゃないから。
紗彩ちゃんに決心がつかないなら、すぐに結婚とか言うつもりはないよ」
「あの、うん。……ありがと」
嫌な訳じゃない。
でもなんか上手く説明もできなかった。
話しているだけなのに、時間はどんどん過ぎて行く。
気がつけば、23時を少し回っていた。
「……俺の部屋に来る?」
少しまどろんだ口調でそう言われて、酔いも飛んでいきそうなほどドキリとした。
「えっ……と」
目を見てられなくて、視線を指先に移す。
だって。
こんな時間から部屋に行くって事は、そう言う事でしょ?
嫌じゃない……けど、
よくよく考えたら、私なんてもう子供も産んでるし、体型だって20代の時とは違う。
英治くんに見せて、大丈夫なの?