契約恋愛~思い出に溺れて~

まるでここにユウがいるみたい。


あなたと一緒に、いつまでも居たかった。

ねえ、あなたは今どこにいるの?

今も、海の中にいるの?


ユウ。

会いたい。

もう一度あなたに会いたい。


「……っ」


目を開けて、寄りかかるカウンターの固さに気がついて泣きたくなる。


酔いが回っているのかもしれない。

ユウが傍にいるような錯覚を起こした。

いる訳がない。
いないのに。


イヤだ。涙が出そう。


人に見られたくなくて、カウンターに突っ伏した。


いっそこのまま、記憶の波にのまれてしまいたい。
溺れてしまいたい。

そうすれば、あなたの傍に居られる。


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