契約恋愛~思い出に溺れて~
小さな嫉妬
「じゃあ、出かけてくるから」
そういう私たちを、両親は優しく見送ってくれた。
「時間は気にしなくていいわよ」
そんな、意味深な一言まで付け加えて。
英治くんの顔を見れば、何事もないような顔で微笑んでる。
何だか自分だけ舞い上がってるみたい。
「はやくいこうよう」
ご機嫌な紗優が、今日こそは自分の番だと、助手席に陣取る。
私は一人後部座席で、なんとなく寂しくなりながら、二人が楽しそうに話す会話を聞いていた。
「紗優ちゃんも小学生になるのかぁ」
「うん。でもねぇ。ちょっとつまんない。
がっこういったらサトルくんとあそべなくなっちゃうもん」
「でもたくさん友達出来るよ?」
「うん、でも。サトルくんとおうちがちかかったらよかったのに」