契約恋愛~思い出に溺れて~
「適当に座って。えっと、カセットコンロがいるよね」
ブツブツいいながら、英治くんはエアコンをいれコンロを探し始める。
私はテレビをつけて、紗優にそれを見ているように言い、自分はキッチンにたった。
曲がりなりにも、初めて披露する手料理。
失敗する訳にはいかない。
まあ、
鍋なんだから失敗のしようもないけど。
材料を切っているうちに、英治くんがカセットコンロを見つけ出し、テーブルの上に乗せる。
「うわー」
「危ないから触っちゃダメだよ」
「うん」
2人の仲良さそうな声が聞こえて来て、何だか嬉しくなる。
軽くキッチンのコンロで煮込んでから持って行こうと、材料を入れて火にかける。
煮立ってくると鮭やタラからいい匂いがしてくる。
野菜も一杯食べてもらわないと。
外食ばかりって言ってたもの。
これでもかというほど白菜をいれ、味をととのえる。