契約恋愛~思い出に溺れて~
そりゃ。
私だってそうしたいけど。
いいのかな。紗優もいるし。
英治くんと出かけてるの、両親も知ってるのに。
「でもなんか言われるかな」
「え?」
「紗彩ちゃんの両親。サユちゃんまで連れ出してるからなぁ」
「あ、……そうね」
そんなことないって言いたいけど。
泊まりたいって言いたいけど。
それを紗優が不思議に思うようならまずいと思う。
保育園で何を話されるか分からないし、世間体ってものがある。
「ねー。おなかすいたようー」
紗優の声に正気に返り、顔を見合わせてから二人で部屋に戻る。