契約恋愛~思い出に溺れて~
「サトルくん! まって」
車に乗り込もうとしていたサトルくんが、紗優の必死の声に気づいて振り向く。
紗優は息を切らして、折角可愛く結んだ髪のリボンもくしゃくしゃにして、
それでもサトルくんの傍までもうひと走りした。
「サユちゃん?」
キョトンとするサトルくんに対して、紗優はもう泣きそうな顔をしている。
「サトルくん。
ラビィのえ、ありがとう」
「うん。サユちゃんすきになったっていってたから、かいたの」
「あの。サユ、サユね。
キャッチボール、れんしゅうしてるの。
じょうずになるから。
だからいつか、サユとキャッチボールして?」
「え?」
サトルくんの表情が驚きに変わる。