契約恋愛~思い出に溺れて~
「キャッチボール、できるようになったの?」
「うん。おじちゃんにおしえてもらったの。
まだへたでボールとれないんだけど。
ぜったいじょうずになるから。
だから……」
「うん! やくそくだね!」
「うん。やくそく」
そう言って、笑おうとした紗優の目から、涙がこぼれおちた。
「サユちゃん!」
サトルくんが心配そうに、泣きだす紗優を見ている。
「サトルくん。……おわかれ いやだよう」
わんわんと、声をあげて紗優が泣きだして。
それを見ているサトルくんが、段々と涙目になっていく。
「サトルと仲良くしてくれてありがとうね。サユちゃん。いつでも遊びに来て?」
一部始終を見ていたサトルくんのお母さんはそう言って2人の頭を撫でると、私の方へ向かってきた。
「電話番号、交換してもいいですか?
もしサユちゃん遊びたがったら、また電話してください。お休みの日なら大丈夫なので」
「あ、ありがとうございます」
2人で携帯を出し、番号を交換し合っている間、紗優とサトルくんは頭を並べて、わんわん泣いていた。