契約恋愛~思い出に溺れて~
『この先何が起こっても、過去は変わらないよ』
いつだったか、酔った達雄を送るために彼の車を運転していた時、英治くんが言った言葉。
あの時は、余裕がなくて詳しく聞くことなんか出来なかったけど。
あれはこういう事を言いたかったんだろうか。
「ユウ」
空に、呼び声を溶かす。
あなたの中にも、一緒に過ごした私たちが、きっと存在している。
だからきっと、寂しくはないでしょう?
そういう風に思うのは
自分勝手かな。
だけど、今は
そう思えるから。
「幸せになるね」
あなたの記憶を大切に温めながら、私は次の恋を精一杯生きる。
それでいいんだと、ようやく思えた。