契約恋愛~思い出に溺れて~
「またね」
そう手を振って別れて、今度は仕事から戻ってきた父の車で食事に出かける。
紗優はお祝いにと、デザートにプリンアラモードをつけてもらい、頬にクリームをつけながら満足気に微笑む。
「もうおなかいっぱい!」
「紗優ももう、小学生になるんだねぇ」
感慨深げに言うのは母。
ある意味、私よりも間近で紗優を見てきた母にとっては、その成長がまぶしく映るだろう。
「……ごめんね。これからもよろしくお願いします」
「やあね。いいのよ。紗優は可愛い孫だもの」
それでも。
母には母なりに、人生プランがあったはずだ。
そこに、無理矢理に今のレールを敷いてしまったのは間違いなく私で、その事については頭が上がらない。