契約恋愛~思い出に溺れて~
軽い調子で毛布をはぎ取られて、反撃に英治くんの顔を手で覆う。
「苦しい、苦しい」
彼はそう言いながらも、手をひきはがすようなことはなく、私からの攻撃を甘んじて受けていた。
その時、自分の左手の薬指に指輪が増えている事に気づいた。
「……え?」
銀色の細いリング。
ユウからもらった結婚指輪もシンプルな細めのプラチナリングで。
光沢もそれに近いところを見ると、これもプラチナなんだろうか。
「やっと気付いた?」
私に顔を覆われたまま、モゴモゴと彼がそう言う。
ゆっくりその手を離すと、いつもの顔で笑う。