契約恋愛~思い出に溺れて~


「これ、英治くんが?」

「うん。ぐっすり眠ってたね。ちっとも気づかないから面白かった」

「どうして……」


ユウの指輪をはずさないで、重ねてつけてくれたのは、何故?


「それなら、二つ重ねてもくどくないだろ?」

「うん」

「実は昨日これを取りに行ってたんだ」

「そうなの?」

「渡すのはもっと先にするつもりだったんだけど」

「……」


英治くんが起き上がって、エアコンのスイッチを入れる。
裸の上半身が綺麗だけど、何だか寒そう。

彼は私に毛布を渡すと、Tシャツとスウェットを着こみながら言った。

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