契約恋愛~思い出に溺れて~
「もう四時だ。悪いけどコーヒーいれてもらっていい?
目が覚めないからシャワーさっと浴びてくる」
「え?」
「インスタントでいいよ」
「……はい」
しばらく呆けているうちに、浴室からはシャワーの音がしてきた。
慌てて服の袖を通しながら、二の腕を見る。
昨日、ここにキスされたんだ。
ここにも。
ここにも。
服を着るのに触れるところみんな、彼に触ってもらった。
「……コーヒー、だよね」
気がつけば昨晩の事ばかり思い出してしまう。
広い肩、胸板の厚み、そして熱い吐息。
……恥ずかしい。
だけど、嬉しかった。