契約恋愛~思い出に溺れて~
二人で玄関からでて、鍵を閉める。
「これもあげる」
そう言って彼は、ポケットからもう一つ鍵を取り出して私に渡した。
「……え?」
「合鍵。そんなに来る事無いだろうけど。もし来て俺がいなかったら勝手に入って?」
「あ、ありがとう」
「ほら行くよ」
ひっぱられて、私はその鍵を失くさないようポケットにしまいこんだ。
そんなに重くないはずなのに、ずしりとした重量感。
私に安心を与えてくれる鍵。
英治くんとの距離が一気に近づいた気がして、にやつく顔を戻す事が出来なかった。