契約恋愛~思い出に溺れて~
手紙と過去
それから、時は過ぎた。
3月末に納期の仕事は、残業続きだったけれど無事に終了した。
担当していた青柳くんは、
ホッとしたように肩を下ろして。
打ち上げの時には、瞳を潤ませていた。
だけど、その背中は以前よりも背筋が伸びていて、この仕事で彼が自信をつけた事が伝わってきた。
4月に入り、社内では部内移動なんかもあったけれど、私自身は部署も役職も変わりなく、相変わらずの日々だ。
今は大きな仕事もなく、割と落ち着いた日常を過ごしている。
紗優が新しい環境になじむまでは出来るだけ傍にいてあげたかったから、丁度よくもあった。