契約恋愛~思い出に溺れて~
この日も、私は英治くんに会いにきていた。
明日は日曜。
紗優が起きる時間までに帰れればいい。
「そういえば、達雄はどう?」
ベッドで何気なく天井を眺めながら、隣にいる彼に問いかける。
ついているのはベッドサイドの小さなランプだけで、まるで隠れ家にでもいるような気分になる。
「うん。結局ね、居場所の見当はついたみたいなんだけど」
「うん」
「出て行ったのは自分のせいだって言ってる」
「え?」
「自分が不甲斐ないからだって。なんか色々、後悔してるみたいで。
迎えには行かないみたいだ」
「え、じゃあ。綾乃ちゃん、そのままにしちゃうの?」
「今迎えに行ったって同じことだって。達雄もああなったら頑固だから、何言っても無駄だろうな」