契約恋愛~思い出に溺れて~


「英治くんの誕生日っていつなの?」

「4月17日」

「……それって、今日じゃない」

「そうだね」

「なんで教えてくれないのよ! お祝い何にも考えてなかった」

「だって聞かれなかったし」


私が振りあげた手を受け止めて、彼が困った顔をする。


「私は英治くんの何?」

「彼女」

「そうよ。彼氏の誕生日のお祝いしたいって普通思うでしょ?」

「……まあ、そうかな。俺あんまり誕生祝いってしたことないんだよね」

「え?」

「親父、そういうの無頓着だったから」

「今までの彼女とかに、お祝いされなかった?」

「……そんなに長く付き合わなかったし」

「あ、……そう」


何だか力が抜けてしまう。

ああ欠陥品って、こういうことなんだ。

英治くんは、人の事はよく気がつくのに、自分の事に無頓着だ。

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