契約恋愛~思い出に溺れて~
35年ぶりの再会
そして5月。
GWのうち2日間をつかって、京都への一泊旅行をする事になった。
「決めたのが遅かったから、一部屋しか取れなかったんだ。ツインの」
そう当日に言うのは英治くん。
ぺろりと舌を出すあたり、最初から一部屋しかとってなかったんじゃないのかしらと思ってしまう。
「紗彩ちゃんと紗優ちゃん、二人で一つのベッドでも大丈夫かな」
「いいわよ。ね、紗優」
「うん!」
紗優はご機嫌で、背中にリュックを背負っている。
ユウの実家は少し遠くにあるから、電車はたびたび乗るけれど、新幹線に乗るのが紗優は初めてだ。
浮かれたように、駅の構内をきょろきょろ見渡している。