契約恋愛~思い出に溺れて~


「ほーら。サユ、お空を飛ぶぞー」


ユウが、紗優を持ち上げて飛行機の真似をさせる。

すると紗優は「きゃー」と彼の頭にしがみついた。

肩まで伸びた紗優の髪が揺れ、彼の顔にかかる。

それを嫌がりもせず、そのまま彼は紗優を肩車した。


「ぱー」

「なんだーサユ」

「ぱー、たーいね」

「あははー嬉しいか?」


『パパ、高いね』がちゃんと言えない紗優の言葉を、ユウは理解して抱きしめる。

彼はこの小さな娘の事が大好きなのだ。


「はい、機嫌直ったな。じゃ、ママのところにいろな」


そういって、紗優を下ろし私の膝に乗せる。

紗優は後ろで一つに結ってある私の髪を前に引っ張ってきて、触り始めた。
何かに触っているのが好きなのだ。

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