契約恋愛~思い出に溺れて~

得るものと失うもの


 7月、紗優は初めての夏休みを迎える。

保育園の間は、関係なく預かってもらえたけれどこれからはそうはいかない。

夏の間中の紗優の相手を、母に頼むのは申し訳なくて学童保育に申し込んだ。

朝お弁当を作って、預かってくれる公民館まで送っていき、夕方は母が迎えに行くという毎日。


低学年の子供たちが皆一緒に過ごす学童保育。

同級生とは上手くやれている紗優も、2、3年生がいることで緊張していたらしい。

しばらくずっとうかない顔をして、「やだなぁ」なんて呟くこともあったけれど、1週間を過ぎたころからは何も言わなくなった。

無事に馴染んだのだろうと、私は勝手にそう思っていた。


 その間、仕事も忙しかった。

8月末が納期の仕事があり、客先との意見が食い違ってることもあって、打ち合わせのやり直しは数回に及んだ。

お弁当を作るためにいつもよりも早起きをし、残業もほぼ毎日。

自分自身の疲労もピークに達していた。

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