契約恋愛~思い出に溺れて~


「学童で、嫌な事されてるってこと?」


私の反応に、紗優は戸惑ったように口元を押さえた。


「う、ううん。それじゃなくて。えと。聞いてなかった?」

「だから何を」

「サユが言っちゃったこと。
ママはきっと、サユよりお仕事が好きなんだって」

「え……」


足が止まる。

色んな音が一瞬聞こえなくなった感覚があった。
頭の痛みだけが、重低音を奏でるように響く。

紗優の口から出た言葉が、信じられなかった。

一歩先に進んでしまった紗優は、困った顔で私に向き直る。

言葉に出してしまったことを後悔してるような顔つきだ。


「違うの。ママ聞いて」

「紗優」

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