契約恋愛~思い出に溺れて~
上手く考えられない。
目の前の紗優が痛々しくて、なんとか助けてあげたかった。
「紗優、泣かないで?」
私の目にも涙が浮かんでくる。
目がくらむ。
視界がにじんできて座りこんでしまう。
「ママ? 大丈夫?」
紗優の声色が変わった。
そう思った瞬間に世界が揺れた。
膝をついてなんとか堪えるも、痛みが治まらない。
「痛い……」
「ママ、ママ!」
「紗優、ごめん。頭、痛くて……」
頭を押さえる私を、紗優はあたふたとした様子で見ている。
なんとかしなきゃ。
この子を不安にさせてちゃダメ。
しっかりしなきゃ。