契約恋愛~思い出に溺れて~
一通りシャワーを浴びて戻ると、達雄さんが目を覚ましていた。
きちんと服を着こんで、ベッドに腰をかけて申し訳ないような顔をする。
その顔が何だかおかしくて、私は思わず笑ってしまった。
「ごめん」
「何が?」
「何だかすごく酔ってたみたいだ。
出会ったその日にこんなとこ連れ込むなんて最悪だな」
そのしょげた姿に、何だか母性本能をくすぐられる。
別に彼だけのせいじゃない。
私が弱いからこうなっているのだ。
「いいのよ。私も寂しかったの。ただこの寂しさを紛らわしたかっただけなの。お互い様だから、気にしないで」
「そうか。でも」
「もう帰らないと。明日も朝が早いから」
明日は土曜日。
朝になったら、紗優の好きなものを朝ご飯に作って、久しぶりにどこかへ連れて行こう。
そうして、終わってしまったことは忘れよう。