契約恋愛~思い出に溺れて~
「でもきっとママが落ち着かないから。おいで。こっちでお粥作ろう」
「おとうさん、おりょうりできるの?」
「できるよ。一人暮らしが長いからね」
「じゃあ、サユもする。あのね。たまにおばあちゃんのお手伝いするんだよ」
「すごいな。じゃあいっしょにやろう」
「うん」
彼とサユの会話が、何だか心地いい。
皆好き。
大好き。
何一つとして、失くしたくないの。
『紗彩は欲張りだな』
そう言った時の彼の声は、少し笑ってるみたいだった。