契約恋愛~思い出に溺れて~

大分頭がすっきりした。

体調の悪さってのは思考も悪くするのだろう。

ずっと考えが堂々めぐりして答えを見つけられなかったけれど、
ようやく少し解決の糸口が見えてきた気がする。

まずは、自分の気持ちをちゃんと伝えることが大事なんだ。

私はしばらく考えてから、真剣に二人に向きなおった。


「あのね」


口調で判断したのか、英治くんの表情が引きしまる。
紗優の方は、キョトンとした様子だ。

まずは紗優の方を向いて、その手をとる。


「ママね、紗優が、学童で辛い目にあってるなんて知らなかった。
ううん。気付いてあげれなかった。ごめんね?」

「う、うん」

「ママが一緒にいてあげれないから、紗優には学童にも行ってもらわなきゃいけないし、帰って来てからも寂しい思いをさせてるよね」

「ママ、でも」

「でもね。ママは紗優の事、大好きなの」


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