契約恋愛~思い出に溺れて~

まっすぐ紗優を見つめると、驚いたように口をパクパクさせている。

その視界の端で英治くんが席を立とうとするから、手を伸ばして引きとめた。


「英治くんも聞いてて」

「いいのか?」

「当たり前でしょう。あなたにも言ってるの」

「わかった」


もう一度息を吸って呼吸を整える。

上手く伝わるように言えるだろうか。


「でもね、仕事も好き。

ママにとって仕事は、自分を支えるものなの。
だから辞めたくない。

そして紗優のことも、とってもとっても大事なの。

ママね、これから会社にお願いして、仕事の時間短くする。
お夕飯を紗優と一緒に作れるようにする。

だから紗優も、ママに協力してくれる?

辛いかもしれないけど、学童には行って欲しい。
ママが帰ってくるまでは、頑張って待っていて欲しい。

お願いばかりでごめんね?
でも、ママと一緒に頑張ってほしい」

「ママ」


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