契約恋愛~思い出に溺れて~
「君も、死んだ旦那さんのことを無理に忘れなくていい」
「……」
その言葉が決定打だったかもしれない。
ユウを忘れるには、私は彼が大切過ぎた。
失くしたくない。
ずっと思い出に浸っていたい。
けれど、私は生きているから。
体を満たすぬくもりが欲しい。
「契約……?」
私の言葉に、彼が頷いた。
「そうだな。契約恋愛」
「分かった。いいわ」
吐きだした言葉に、少しだけ罪悪感を感じる。