契約恋愛~思い出に溺れて~
しばらくして、昼休憩の時間に久しぶりに渚と会った。
買い物で近くまで来たから寄ったのだという。
娘さんは母親に預けてきたのだそうだ。
「そんな事があったの?」
話をするのは、達雄との契約恋愛の事を相談した時が最後だ。
たまにメールはしてたけど、そんなに深刻な内容は書かなかったので、あまりの展開の速さに驚かれてしまった。
「ふーん。でも良かったじゃない。いい人に会えて。
そうか。じゃあ、結婚するんだ。……仕事はどうするの?」
「うん。一応管理職は下ろしてもらおうと思ってる。
本当はやめた方が紗優の為なんだろうと思うけどね」
「そうかなー。仕事してない紗彩なんて紗彩じゃないなーって思うけど」
サラリとそんな事を言って、渚は目の前のランチを頬張る。
「そうかしら」
「そうよ。まさか私がなんの嫉妬もしないで紗彩の事応援してたと思ってるの?」
「……思ってたわよ?」
思ってもみない事を言われてキョトンとしていると、渚はクスクス笑いだす。