契約恋愛~思い出に溺れて~
「仕事も同期の中じゃ一番で、早々に男見つけて結婚して。
産休で一年も居なかったくせに、復帰後すぐいい仕事回してもらえて。
部長は紗彩を優遇してるって思ってた人は何人もいるよ。
私だって、羨ましいと思ってた」
「そうなの?」
あまりにも橘さんからの風当たりが強かったから、他の人は気にならなかったけど。
もしかして皆そんな風に思ってたの?
「でも、紗彩は仕事に対して真剣だったし、好きだってのも伝わってきた。
それに部長に期待に応える仕事をしてたのは事実だったしね。
だから私は、紗彩が好きなままで居られたし応援だって出来た」
「渚」
「紗彩が仕事やめたら廃人になりそう」
「それは言い過ぎ!」
「でもあながち間違いでもないでしょ。
廃人のお母さんなんて、働きすぎのお母さんより嫌よ。そうじゃない?」
「……そうね」