契約恋愛~思い出に溺れて~
あまりにも凄い発想に、笑うしかない。
二人で顔を見合わせながら笑ってたら、何だかすっきりしてきたみたい。
確かにそうだ。
私が仕事をやめたことで腑抜けになったら、紗優はもっと嫌だろう。
「ありがと、渚」
「んん? お礼言われるようなことしてないけど」
「そうでもないわよ。さて。私は仕事に戻らないと」
「ホントだ。もう昼休憩終わりだね。じゃあ出ようか」
口元を拭いて、口紅を塗り直す。
お化粧は戦闘準備のようなものだ。
気合いを入れ直し、渚に別れを告げて私は会社へと戻った。