契約恋愛~思い出に溺れて~

 残る夏休みの間も、紗優はずっと学童に通っている。

渚と話をしてから、私は出来るだけ自分が会社でどんなことをしてるかを紗優に話す事にした。

理解は出来ていないのだろうけど、ママも頑張ってる、という認識だけは持ってくれたらしい。


「紗優、頑張ってきてね」

というと、

「ママも、頑張ってきてね」

とお返事をくれる。

二人で励まし合えることが、こんなに力になるとは思わなかった。


自分の話も聞いてもらっているので、紗優が何か言いかけた時は、できるだけ話を聞く事にした

タイミングが合うと、紗優は色々話してくれる。


意地悪してくる子は三年生の男の子だということ。

学童の先生が気付いて、最近は注意してくれるということ。

「やめて」って直接自分でも言えるようになったってこと。

二年生の女の子と仲良くなって、かばってもらえるようにもなったということ。


「一人じゃないから、サユ大丈夫」


夏の終わりには、そんなことまで言えるくらいになっていた。

紗優の成長を感じられることが、とても嬉しかった。

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