契約恋愛~思い出に溺れて~
英治くんのお父さんは、初めて会う紗優に一生懸命話しかけている。
「はじめまして、紗優ちゃん」
「おとうさんのおとうさんだから、おじいちゃんって呼んでいいの?」
「ああ、呼んでくれたら嬉しいよ」
突然に出来た孫に対して、精一杯心を開こうとしてくれているのが何だか嬉しかった。
「年とると変わるのかな」
なんて、ポツリと英治くんは言ったけど、時が経って上手にできるようになることもある。
今までだってきっと、お父さんはそうしたかったのだろうけれど、うまくできなかっただけなんだ。