契約恋愛~思い出に溺れて~


「お疲れ、紗彩ちゃん」

「ご機嫌ね」

「まあね。ホラ座りなよ」


そう言って、それまで自分が座っていた場所を空けて、達雄さんの反対側へ行く。

そうして、一緒に30分くらい話した後、

「お先」

と言ってするりと帰って行ってしまう。


「面白い人よね」

「まあね。英治はマイペースだからな。でも結構気づかいは細やかなんだけど」

「そんな気がするわ」

「俺はいつも世話焼いてもらってばっかり」

「それも、そんな気がするわね」


クスリと笑うと、達雄さんも自虐的に笑う。

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