契約恋愛~思い出に溺れて~

彼ら二人と話すのは楽しかった。

会社では橘さんのような人もいるから、いつも気を張っていなきゃいけないし。
家でも弱音を吐くことができない。

この二人といるときだけは、そんなしがらみから全部解放されて、自由になれたような気がした。

紗優を置いて、夜に出歩いている事に罪悪感はあったけど、
それをやめることも出来なかった。


そうして、時折りは体を慰める。
お互い別の相手を思って抱き合うのは、やはり酔っていないと難しくて。

そういう目的の日は煽るように飲んだ。

でも、酔い潰れることはなかった。

冷静さを捨てきれないのは、やはり私が母親だからなのだろう。


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