契約恋愛~思い出に溺れて~

 そんな風に何度か会って、親しさが増すごとにいつしか呼び名も変わっていく。


「よう、紗彩ちゃん」


その日は英治くんが一人で座っていた。
隣の席には空のグラスがある。


「こんばんは、英治くん。達雄は?」

「今、トイレ行った」

「そう。ここ座っていい?」

「もちろん」


私は英治くんの隣に座った。
彼の隣に居ると煙草の香りがする。

そんなに体に染みついてるなんて、結構なヘビースモーカーなのだろうか。

< 55 / 544 >

この作品をシェア

pagetop