契約恋愛~思い出に溺れて~
「ごめん。今日は無理かも」
「……そうみたいだな。悪い。俺が性急だからだな」
「ううん。……ねぇ、"アヤ"ちゃんの事教えて?」
「アヤの事? 聞いてどうするんだよ」
「聞いてみたいだけ。なんでそんなに好きなの?」
ベッドの上の布団を引っ張り上げ、自分の体を隠す。
なんとなく、正気に戻ってしまうと恥ずかしい。
達雄も落ちている衣服を身につけ始める。
「アヤは、……綾乃って言うんだけど。10歳下の妹なんだ」
「そんなに離れてるの?」
「ああ、性格には義理の妹だな。
両親は子供が出来なくて、俺が5歳の時に引き取ってくれたんだけど、まさかの5年後にできたのが綾乃だ」
「……え?」
淡々と彼は言うけれど。
じゃあ何?
達雄とその綾乃ちゃんの間には、血のつながりはないの?