契約恋愛~思い出に溺れて~
「仲良く暮してたけどな。
俺が18歳の時両親が事故に遭って、父親は死に、母親は以来入退院を繰り返してる。
俺が育てたようなもんなんだ、綾乃は」
「そんなサラリと言うけど、大変だったんじゃない」
「そうだな。がむしゃらにやってきたつもりだ。
だから分かるんだよ。紗彩が時々息抜きたいって思うことも」
「そう」
そうだ。
最初から、彼は母親である私を労わってくれるようなところがあった。
「そうして、アヤが年頃になって、女っぽくなってくるにつれて、俺の方はアイツを意識するようになっていった。
でも、アヤは俺を兄として信頼してくれてる。
こんな気持ち言う訳にいかないんだよ。
俺が一生片想いってのは、そういうこと」
「でも……」
血がつながってないのなら、全く可能性がない訳じゃない。
私みたいに、相手が死んでしまったのでないなら。