契約恋愛~思い出に溺れて~
彼の妹
そうして時は過ぎて行った。
春が来て、紗優の学年も上がる。
「なんか、園児服ピカピカだね」
「うん。紗優大きくなったから買い替えたんだよ。これを卒園まで着ようね」
「わあい、新しいのだ」
嬉しそうに服を触る。
そんなに触ったら逆に汚れちゃうわよって思うくらい。
紗優は随分背が伸びた。
子供は服のサイズが上がるのがなんて早いんだろう。
「ホラ、パパにも見せてあげようね」
いつものように、朝のお線香を一本立てる。
時が過ぎるのを、恨めしいと思った事は何度もあるけど。
こうして紗優の成長を嬉しいと感じているのは事実だ。
出来ればユウに本当に見せたかった。
あなただったら何て言うだろう。