契約恋愛~思い出に溺れて~
「おじいちゃん、忙しそうだね」
「そうね。本当に忙しいんだと思うわよ」
そう。
娘の変化に気づくことは今までもあまりなかった。
家の事は母任せ。
男は外で仕事をしていればいい。
元々そういう考えの人だ。
それに反発心があった訳じゃないのに、随分正反対の人を選んだものだと自分でも思う。
本棚は、何か別の方法を考えよう。
郵送にしてもらってもいいし。
「さ、遅れるわよ。紗優」
紗優を急かして、またいつもの日常が始まって行く。