契約恋愛~思い出に溺れて~
今日は青柳くんが担当している仕事でのミスが発覚し、その謝罪の訪問に行くところだ。
彼の失敗は当然上司である私の失敗でもある。
一緒に取引先へ向かい、二人で並んで平謝りして、もう一度確認の打ち合わせをしてもらえるようお願いするのだ。
幸い相手の担当の方が快くそれを受け入れてくれ、私たちは胸をなでおろす。
もし相手が悪ければ仕事自体がダメになるところだった。
会社に戻りがてら昼食を食べ、午後からは設計チームに変更点の指示を出す。
「もう一度、きちんと仕様書をまとめ直しなさい。
終わったら確認するから持ってきて」
「はい」
青柳君にそう言って、彼の仕様書が上がるのを待つ。
この調子では、今日も残業になるだろう。
2年前に、今の課長職についてから、定時で帰れる日なんて殆どない。