契約恋愛~思い出に溺れて~
娘との休日
翌日の土曜日は、快晴だった。
とはいえ今は1月で寒さは厳しい。
私は紗優にマフラーと帽子をかぶせた。
「このマフラー、おばあちゃんがあんでくれたの」
「そう、素敵。似合うわよ。ありがとうって言った?」
「うん。おばあちゃんじょうずって」
紗優はお利口さんだ。
こんなに小さい子なのにちゃんと空気を読んでいる。
この家で上手くやっていくには、祖母と仲良くするのが一番だとちゃんと分かっているのだろう。
私は見送りに出てきてくれた母にお礼を言う。
「お母さん、いつもありがとう。こんな素敵なマフラー私には編めないわ」
「紗彩は手先は不器用だものね」
「うん。だからありがとう。じゃあ行ってきます」
「行ってらっしゃい。紗優、楽しんでおいでね」
「うんー。いってきまーす」
褒められたのに気を良くしているのか、母はいつもより機嫌が良かった。
私と紗優は解放感を感じながら、手をつないで歩きだした。