契約恋愛~思い出に溺れて~
「ママ、でんしゃにのるの?」
「そうね。まず駅まで行こうね」
「うん。そこまではバスね?」
「そうよ。さあ行こう?」
小さな手が、ギュッと私の手を握り返す。
この手がどれだけ私を救ってくれていただろう。
長く伸びた黒髪は私譲り。
それ以外は皆ユウからもらったんじゃないかなってくらいユウに似てる紗優。
くっきりとした二重の瞳。
女の子にしては太めの眉毛。
笑うと特にユウに似てみえる。
紗優がいなければ、ユウがいなくなった後正気を保っていられたかどうかも分からない。