幸せ探そうぜっ!!



当たり前のように彼は椅子に座りなおして、元の、いつものふにゃりとした笑顔に戻った。


「……森下千鶴です。クラスは二組で、出席番号、は、一番最後で、す」


どう?


そんな意味をこめて荒井君を見れば荒井君は笑顔。


「まだどもるけど、“えっと”がないからだいぶ聞きやすかったよ」


荒井君にそういってもらえるだけで、あたしはうれしくて空まで舞い上がれる気がした。


「んじゃ、今日はお互いをもっと知ろう!の回だね」


また変なことを言い出した。


「順番に質問しあっていくんだ。それでその質問にははっきりとこたえること!」


「……はい」


どんなことでも、あたしは幸せになれるならしたかった。


「じゃ、まずは俺から。森下は食べ物は何がすき?」


小学生かっ!


もちろんそんなことは言えないけれど……


「……和菓子が、好き……です」


「はい次、森下が質問する番ね」



――あたしが荒井君に聞きたいこと……



そんなこと、1つしかないよ。


「何で、ここまでしてくれるの?」



ただそれだけ。

初めて荒井君の前ではっきり話したかもしれない。
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