幸せ探そうぜっ!!
「今日の授業は歩きながら行います」
荒井君はもう譲らないと言った様子で、カバンを持って立ち上がった。
―――――――――――
帰り道、正直この人と歩くのはとても辛い。
なにせ人気者ですから。
今は部活中だから、人は少ないけど……そういう問題でもないのよ。
なんていうか、荒井君と並んで歩くということがあたしの頭を下げさせてく。
「下ばっかむいてんなら、幸せ落ちてないか探してみ?」
――落ちてるわけない
そう思っているのに、あたしは頭を上げて歩けなかった。
そんなあたしに初めて頭を上げさせたのは、荒井君の変な言葉だった。
“幸せ落ちてないか探してみ?”
あほか。
落ちてたらあたしはきっとこんなに暗くないよ。
「どうせ下向くなら、幸せ探してみるのもいいんじゃない?案外転がってるから」
転がってるから……って。
「多分無いよ……何も。あったとしても幸せもあたしに拾ってほしくはないと思うよ」
本気でそう思った。
だから、そう口にした。
ありのままを。